O脚と猫背
O脚矯正に来られる方の多くが、猫背であり巻肩になっている状態です。その傾向は90%以上であると言っても過言ではありません。O脚でない方でも多くの現代人は猫背巻肩といえます。
もともと背骨(脊椎)は横から見ると緩やかな「S字」カーブを描いています。頸椎(首の骨)は前カーブ、胸椎(胸の骨)は後ろカーブ、腰椎(腰の骨)は前カーブです。
姿勢が悪くなるとどうしても顔が前に出る形となるので、バランスをとるために胸椎の後ろカーブが大きくなります。
そうなるとバランスをとるために、胸椎の後ろカーブが大きくなります。これが慢性的になり、固定された状態が「猫背」と呼ばれるものです。
胸椎の後ろカーブが大きくなると今度はそれを補正するために、腰椎の前カーブが大きくなります。しかし椅子に座っている状態では、胸椎の後弯(後ろカーブ)の延長として背中全体が丸くなるというい形になります。
これでは猫背反り腰と矛盾をしているようですが、お腹の中の深い部分で「大腰筋」が足と腰椎につながっているので、座っている時は股関節が90度の屈曲(曲がっている)しているので、それほど問題はありません。
しかし、立ち上がって股関節が真っすぐ(180度)になると腰の骨を前へ引っ張る形となるので、反り腰になってしまいます。
上前腸骨棘という骨盤の前の部分が前下方へと変移を起こして、その動きに合わせて座骨(お尻の下の骨)が左右へ広がる形で下肢(足の骨)の内旋が始まります。
O脚の始まりは、膝が外へ広がっていくのではなく、下肢が内旋(内捻じれ)することによって、膝の間がだんだん開いて見える形となります。
つまりO脚矯正は膝の間を寄せるように力を加えても改善しません。O脚改善の最大のポイントはここにあります。
O脚になるとお尻の横の骨が出っぱってくる
大腿部が内旋(内ねじれ)するとお尻の横の出っ張った骨(大転子)が、横に大きく張り出してきます。すると後ろから見たお尻の形が台形に見えてきます。
もともと日本人に多い体形として下半身太りがあります。ウエストでパンツを合わすと骨盤が入らないし、お尻でパンツを合わすとウエストが、ブカブカになるという感じです。
この大転子というのは、本来は真横よりやや後ろ側に位置しています。大腿部が内旋することによって本来の位置からやや前へ移動していきます。
すると前からお尻(骨盤)を見ると両横に張り出した形に見えて実際お尻回りも大きくなります。
私たちの背骨はこの骨盤の真ん中(仙骨)の部分で、アルファベットの「Y」の字を逆さにした形になっています。上から流れてきた力(重力)は骨盤の所で左右に分かれる形となります。
大転子が本来の位置から前へずれて真横に来ると、その上から来た力が左右に流れていきます。これが猫背巻き肩から腰椎(腰の骨)の前弯(前カーブ)が強くなってくると、力が外へ逃げていき大転子(骨盤の横の骨)が張り出す大きな原因です。
この横へ張り出した骨(大転子)は、横から内側に向かって押してもへっこみません。O脚矯正で膝を横から押しても治らないのと同じ原理です。
逆に言えば大腿部の内旋を改善していけば、O脚と同時にこの大転子も元の位置に戻り、骨盤を小さくしていくことができます。
O脚は内転筋を鍛えても治らない
O脚というのは膝と膝の間が開いています。昔はその膝の間を閉じるということで、膝の外から内側に向けて力いっぱい押したり、ヒモでしばるという今から考えると、かなりハードなO脚矯正もありました。
私がO脚矯正を始めた20数年前に流行っていた体操は、膝の間に紙や薄い本を挟んで、その紙を落とさないように屈伸をしたり、両膝の間にクッションを挟んでぎゅっ~と力を入れるなど、いわゆる内転筋(内ももの筋肉群)を鍛える体操が主流でした。
確かに膝の間が開いているので、このような体操は一見効果がある様に思われますが、この内転筋の筋肉としての働きは、股関節を閉じる役割をしますが、残念ながら膝の間を寄せる効果はありません。ですから大腿部の内旋によるO脚には効果がありません。
女性の95%のO脚はこの内旋タイプです。O脚の原因は大腿部の内旋なので、内から外へ戻す力を使わないと、O脚の改善にはないのです。
つまりO脚矯正に必要なのは内転筋では無く、外旋六筋というお尻の裏側にある筋肉です。
この筋肉群はお尻の真ん中にある仙骨という骨と大転子をつなぐ筋肉です。(一部大腿骨に付いている骨もあります)
この外旋筋は日常生活ではあまり利用されることはありません。内旋型のO脚の場合はこの外旋筋を働かす必要があります。
O脚を早く改善するために日常に気を付けるポイント
O脚を改善する方法として、本やビデオなどを見て自分で体操をするという方法があります。またO脚サロンや当院のようなO脚専門の整体院に通うというのも一つの選択肢です。
ただここで考えて頂きたいのは、自分で頑張るにしてもプロに任すにしても、何故O脚になったかを考える必要があります。
O脚に限らず今の自分に起こっているることは、今日までの自分の行動の結果だといえます。
O脚でいえば過去の運動歴(小さい頃の習い事や学生時代の競技など)や、今のお仕事の形態やスポーツを続けておられるのならその種目。普段の体の使い方や座り方立ち方の癖などがかなり影響してきます。
ライフスタイルの結果としてのO脚なのですから、貴女のO脚が何故なったのかという原因を探していく事から始めないと、正しく綺麗な脚になっていきません。私はそう考えます。ですから初回時のカウンセリング(問診)にはとても時間をかけます。(30分~60分)
この時間を共有することで美脚というゴールが明確になり、少しでも早く貴女の望む結果を出していける、ベストな方法だと思います。
O脚を早く改善するための歩き方のポイント
女性のO脚の一番の原因が、大腿部の内旋と定義して話を進めています。その原因として考えているのは、
1.巻き肩、
2.猫背(胸椎後弯)、
3.反り腰(腰椎前弯過度)、
4.重心の前方移動 です。
ご自分で体操をするにしても、プロに任すにしてもこの4つのポイントを、意識して行っていただきとうまくいくと思います。
前章の動画でO脚を早く改善するためには、ライフスタイルが重要であるとお話をしました。その中で「お腹に力を入れてください。」と言いました。
指導としては「一日中お腹をへっ込めるように意識をしてください。」となりますが、中々一日中お腹に力を入れるというのは難しいです。何故なら忘れてしまうからです。
私たちは新しい習慣を自分のものにするために、脳にインプットして定着するまで21日(3週間)かかるといわれています。(諸説あり)
その間自分の意識だけでずっと継続してやり通すのは難しいので、健康塾ではアンカリングという手法をご指導しています。その方法を利用すれば結構一日中思い出すことができます。
このポイントは一日中覚えているという事でなく、あるきっかけで思い出すという事です。この思い出すという事が習慣化されることが大切なことです。
ずっと覚えておくとなると結構プレッシャーになりますが、「思い出すだけとで良いなら、がぜん楽になってきました。」とおっしゃる方もおられました。
さらにこのお腹をへっこめるという事が、効果的なタイミングはというと「歩く時」です。
歩く時にお腹をへっこめて、頭のてっぺんから糸で吊り下げられているイメージで胸を開いて、少し大股で早く歩く。これでOKです。この歩き方ができたらO脚改善にとても役立ちます。
足首を回してO脚を早く治す方法
女性のO脚の方は、大腿部が内旋(内ねじれ)している方がほとんどで、同時につま先も内反している方が多いと言えます。内反とは仰向けに寝た時、つま先同士が向かい合う形になります。
O脚を調整する時健康塾では、全身のバランスを考えて頭の先から足先まで調整しますが、特に足首は入念調整(矯正)します。
内反位になったものを正位置に戻して、背屈(つま先を手前に引く位置)位にして固定します。この調整をしない事にはO脚は改善しない、といっても過言ではありません。
O脚の方で靴の外側が減る人は内反足と言えるでしょう。プロに任すにしても、ご自分で体操をするにしても、足の調整を効果的にするためにセルフケアとして、足首を柔らかくしていただくことをお勧めいたします。イメージとしては、アキレス腱を伸ばす体操をしていただければOKです。
このセルフケアをする時に、私たちの体には各部位の相関関係というものがあります。それを利用するといいでしょう。
それは「手首と足首」、「肘と膝」、「肩関節と股関節」という具合です。原則として同側です(右手首なら右足首というように)。
足首の体操もこの相関関係を利用すれば手軽にできます。つまり手首を良く回すということです。
一度ご自分の、右左の足首の硬さを比べ見て、硬い足首側の手首を回したり振ったりして、柔らかくしてみてください。そうすると不思議ですが硬かった足首も柔らかくなります。
ちょっとした事ですが、日常の中で工夫していけば、セルフケアも苦痛ではありません。普段の行動の中に上手く組み込んでいけば、O脚に限らず案外早く体は改善していきます。是非やってみてください。
重力を利用してO脚を早く治すコツ
O脚矯正に限らず施術は、基本的にはベッドに横たわって調整をします。当院でも座位や立位で調整する場合もありますが、それは特殊な状況です。
何故横たわって施術をするのかというと、私たちは何もしないでただ立っているだけでも、筋肉は働いています。(収縮しています)
これら立位を維持するために働く筋肉群を「抗重力筋群」といいます。ざっくり上げると「首の筋肉」、「背中の筋肉」、「お腹の筋肉」、「お尻の筋肉」、「太ももの前の筋肉」、「ふくらはぎの筋肉」です。これらの筋肉がバランスよく調和して働いています。
この筋肉群が働くことによって私たちは、立った状態維持できます。本当に全身脱力すると、糸の切れたマリオネットの様に倒れてしまいます。ベッドでの施術ではこれらの、抗重力筋に邪魔されない状態で調整をします。
しかし、施術が終わって帰るときは立ち上がって歩いて帰ります。ここで一番下の土台である足首が正しい状態でなかったり、骨盤から上のアライメント(背骨の正しいS字カーブ)が整っていないと、歩いて帰る時には元へ戻ってしまいかねません。
確かにO脚というのは膝の間が開いてるのですが、膝だけを見るという考え方では正しいO脚矯正とは言えません。膝の間が開いているのは、原因ではなく結果なのです。
O脚の原因は人それぞれ違います。十人十色でその原因を見つける経験則は、20数年間O脚を見続けきた、健康塾ならではのロジック(論理)があります。
O脚矯正に効果的な肩の回し方
O脚矯正を考える上で足だけを見るのではなく、体全体を健康塾では見ていきます。これは膝の間が開いているのは、原因でなく結果だからです。ですからご自宅でのセルフケアも、足だけでなく上半身の体操をしてもらうのが、当院の独特な考え方です。
目的は脊柱のアライメント(正しいS字カーブ)を作るためです。その時に一番のポイントは肩甲骨です。肩甲骨を動かす体操で「肩を回してください」と言うと半分近くの方は腕を大きく回します。腕を大きく回すと肩が回っている様に感じますが、肩(肩甲骨)はほとんど動きません。
腕を回すと肩甲骨は若干上下には動きますが、目的の肩甲骨はほとんど動きません。正しい方の回し方は「肩甲骨」を動かすということです。猫背になると肩が前側にでてきます。
そのまま肩を下に下ろします。次は前に出すのではなくまた上にあげます。そして肩甲骨を寄せるように後ろへ回します。この部分の修正が必要なので、正しい体操のやり方としてはまず、肩を上にあげます。(肩を耳に近づける)
次がポイントです、次はそのまま肩を後ろへ回します。この時肩甲骨を寄せる様にするのが最大のポイントです。
横から見ると後ろ側に半円を描くように動かします。無意識にすると肩を後ろに回す時、腰が反ってしまいますので、必ずおへそを凹めながらやってください。
「胸は反るのではなく開く」これが合言葉です。肩甲骨とへそを意識して是非やってみてください。肩こりの解消にもとても効果出来です。
O脚矯正を成功させるために本当に必要な事
健康塾にO脚矯正に来られる方を大きく分けると、3つに分類できます。
1、治療も体操もしたことがない人。
2、自宅で体操をしたけれど改善しない人。
3、他院で治療を受けたけど改善しない人。
に分けられます。
自分で体操をするにしても、他院でO脚矯正を受けたとしても、その方法で改善した人は、当院には来Oません。例外としてそれら方法で改善したけど、時間(年数)が経ってまたO脚気味になってきたのでメンテナンスに来られる場合はあります。
1番のパターンの方は、初めてO脚調整にトライされるわけですから、軽度のO脚から重症のO脚まで様々です。人によっては数回(まれに一回)で改善する方や、20回ぐらいかかる人もいます。その方のO脚の程度や、運動歴・仕事の形態により変わってきます。
2番、3番のパターンに関しては、その体操や治療(矯正)法が間違っていたか、改善するまで取り組めなかったと言えます。
間違った体操や治療法の多くは、膝の間が開いているからといって、両膝のサイドから中心に向けて力を加える体操や治療法です。O脚は膝の間が空いているので物理的に無理に寄せようという、イメージだけで調整を考えることです。
人それぞれ原因が違うので調整法も、個人ベースのオーダーメイドで取り組んでいかないと、結果として改善しません。つまりO脚矯正に本当に必要なことは、正しい判断と正しい調整です。この二つにつきます。
O脚矯正を成功させるコツは正しく基準を作る事
電話やメールの問い合わせで、「私のO脚は治るでしょうか?」という質問を時々お受けします。正直な話し、実際のO脚の状態を見ていないので、私としては「一度調整してみないと正確な判断はできません」としかお答えできません。
写真を送っていただいてやり取りをすることもありますが、体の状態は各自各様なので正確には断言できません。
当院ではO脚を大きくは3種類、さらに各パターに別の要素(内反と反張膝)を加えると、全部で12通りのパターンに分けてO脚調整をします。ですから経験則により写真だけでも、おおよその判定はしています。
しかし正確には一度調整をしてその変化で、正しい判断がですきます。それがプロとして責任をもってO脚矯正をするのですから、軽はずみな回答はできないと思います。
その初回時のポイントで大切なことは、比較の基準という事です。
O脚の矯正の写真を見ていると最初(施術前)と最後(施術後)の条件が、変わっている写真を時々見受けられます。つまり、最初はつま先と踵を付けて写真を撮って、最後はつま先を開いて撮るという方法です。
一度試してみると良く分かりますが、施術をしないでもつま先を開いて立つと、膝の間はそれだけで寄ります。このように基準が変わると正しい判断ができません。つまり正しい調整ができないという事です。特に後ろからとった写真はつま先が見えにくいので要注意です。
それとお尻に力が入っている状態では、膝は寄ってしまいます。立ち方としてつま先を開いて立つのはOKです。しかし正しく調整をする時は、施術前後の基準を合わせるという事が必要です。
健康塾ではO脚矯正を始めた時から「つま先と踵を付けた状態で力を抜いてもらって立つ」というのを判定の基準としています。
つま先を開いてO脚矯正体操を絶対やってはいけない訳
(少し専門的な話になります)O脚の原因が「大腿部の内旋(内ねじれ)である」という事を、語るO脚矯正の専門家も増えてきました。
O脚矯正を確実にするために、もう一つ大事なポイントがあります。それは「反張膝」です。反張膝というのは膝関節の過伸展の事です。O脚矯正で大切な事はこの過伸展のO脚の見分けです。
膝関節は完全伸展をする時に、下腿部が大腿骨に対して約5度ほど外旋します(外側顆と内側顆の径の違いによる)。ただしその外旋は足底部が解放状態にあるときです。
通常立っている時は足底部が地面に固定され、外旋ができません。その分代償として膝関節が内旋します。この時膝関節の伸展角度が真っすぐ(180度)であれば、5度ぐらいの外旋であれば膝関節・足関節で吸収されてしまいます。
しかし反張膝の場合は、膝関節の角度が180度を超えてしまいますので、外旋の角度が反張膝の度合いによって大きくなります。
O脚を矯正する体操をする時に、つま先を開いた状態で膝を寄せるように力を入れると、この膝関節のの過伸展が進むだけで、O脚の大元の原因である大腿部の内旋(内捻じれ)を改善するためには力が働きません。
一般のO脚の場合であれば可もなく不可もなくですが、反張膝のタイプのO脚のタイプは逆効果といえます。
反張膝の多くは実はO脚ではなく場合も結構あります。立った状態だと膝の間が開くが、上向きに寝ると膝の間が閉じるタイプの方です。